チタンの歴史
チタンの特性・用途
 
最初にチタンを見つけたのは、イギリスの寺僧で鉱物学者であったウイリアム・グレコ−とされています。1790年、「メナカン海岸」で採取した磁性のある黒色の砂の中に新しい金属元素があると推定。この未知の元素を、発見地にちなみ「メナカイト」と名づけました。
チタンが世に出る始まりです。
 
 
 
グレゴーの発見から5年後の1795年、ドイツの科学者クラブロートがルチール鉱(金鉱石) の成分分折により、特異な性質を持つ酸化物であることを見い出し、新しい金属元素としてチタンと名付けました。この命名はギリシャ神話に由来し、オリンポスの神々の戦いに敗れ、巨人「タイタン」は地底に封じ込められたという話から、鉱石中に存在した元素を 「チタン」としたのです。
 
 
 
発見当時はチタンの酸化物を鉱砂から抽出しただけで、今日のように純粋な金属チタンを取り出すことはできませんでした。その後、多くの科学者が挑戦しましたが、不純物を取り除くことができずに終わってしまいます。しかし、1910年アメリカの科学者ハンターがついに純度99.9%のチタンを抽出することに成功。これによって、初めて、純粋なチタンが世の中に誕生しました。
 
 
 
実際にチタンが金属材料として実用化され始めたのは1946年あたりからです。「ナトリウム還元法
(ハンター法)」をもとに、1946年ルクセンブルクの治金学者クロールが「マグネシウム 還元法(クロール法)」を開発し、工業的に大量生産することが可能になり、以後この2製法共存時代を経て、今日ではこのクロール法が一般的な製錬法として採用されています。この方法でつくられるチタンは、スポンジ状になっていることからスポンジチタンと呼ばれています。
 
 
 
※当ページ内容は「社団法人日本チタン協会」出版「チタンの世界」より抜粋し掲載させていただきました。